ウディ・アレン『カフェ・ソサエティ』

カテゴリー 映画

近年のウディ・アレン作品でベスト

大好きな映画監督、ウディ・アレン。
毎年1本の映画を撮ることをライフワークにされていますが、2016年の本作『カフェ・ソサエティ』は、ウディ・アレンらしい「苦み」とロマンチックに満ちた、ここ数年のベスト作でした。

物語の舞台は1930年代のアメリカ。時はハリウッド全盛期。大物プロデューサーの叔父を頼りにニューヨークからやってきたボビーくんが、叔父の秘書のヴェロニカに恋をするけれども、ヴェロニカと叔父が実はできておりまして、、、というベタベタなストーリー。
なのですが、そもそもウディ・アレンの映画は筋なんてどうでもよいのであって、ニューヨークのボビーくんのご実家のユダヤ人一家のやり取りや、新しい恋人など、周辺の人物たちも魅力に溢れ、相変わらず観させますね。

とりわけ、ジェシー・アイゼンバーグの演技が素晴らしかった。
世間知らずでお金もなく、情熱だけしかない青年時代と、ハリウッドで挫折し、クラブのオーナーとして成功者になっていく。二つの年代を演じていますが、その対比が見事。前半の若さに溢れる演技も素敵でしたが、後半、ハリウッド時代の彼女が店を訪れ(思いっきり『カサブランカ』へのオマージュですね)、その変わりように驚くシーンは、「この人ってこんなに凄い役者だったっけ」と驚かされました。彼自身も役者として成長しているんですね。

あと全編に渡ってジャズのスタンダードナンバーがちりばめられているのも個人的に嬉しかったです。ジャズ好きのアレンでも、これほどたくさん曲が使われるのは初めてじゃないでしょうか。でも、ジャズのスタンダードって、考えてみたらこの時代に作られ、実際に当時ラジオなどで鳴っていた音楽なんですよね。この映画のBGMというよりは、この時代のBGMだったんだ。今から80、90年も前の音楽なのに、まるで色褪せない。本当に凄いですね。

テーマよし、役者よし、映像よし、音楽よし、ラストよし(これは観てのお楽しみです)ということで、ウディ・アレンの映画でも大好きなものになりました。アマゾンの評価では「時代考証はどうなっているんだ」というコメントが上がっていますが、そんなのどうでもいいじゃねぇかと思うんですが、そうでもないのかしら。

狛江在住の28歳。ライフワークはジャズとランニングと釣り。ピアノを弾きます。

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